公文式の研究(1)
この項はあくまで私の私見に基づいています。
公文式の算数・数学のカリキュラムを見ると非常に特異な点が見られます。それは図形及び関数についての項目がない点です。
以下に公文式のHPのQ&Aを掲載させていただきます。
Q:算数では計算が中心と聞きましたが、文章題や図形はないのですか?
A:算数・数学の基礎は計算力。中学校・高校で困らないようにまず十分な計算力をつけることを目的にしています。そのため文章題や図形の問題は多く出題していません
公文式教材では、中学校・高校以降になって数学で困ることのないように、あえて代数計算に絞っています。これが、保護者の方に理解していただきにくいところかもしれません。
学校の授業における計算問題の割合は、小学校では全体の約6割程度ですが、中学校では8割、高校になるとそのほとんどすべての問題で代数計算が必要となります。その一方で、小学校時代に学校の授業で困らない程度に計算ができたため気にかけないまま中学校・高校に進み、計算力の不足が原因で数学が苦手になるというケースが非常に多いのです。
計算力を身につけるには多くの練習が不可欠ですから、計算力の不足は一朝一夕で挽回できるものではありません。高い計算力が十分につく前に、文章題や図形の学習をと焦る必要はないと、公文式では考えます。先の段階の高度な計算までできるようにしておいた方が、中学校以降での学習がらくになるのです。
また、文章題や図形問題ができるようになるには計算力以外に、問題文から内容を読み取り、イメージ化する国語力が必要になります。そこで、子どもたちに先に十分な計算力と国語力を身につけさせることが、文章題や図形を得意にする近道になるだけでなく、ほかの教科にも非常に良い影響を与えることになるでしょう。
公文式の算数・数学学習では、核となる学力を効率よく習得しながら、自学自習力を高めることを目指します。そのためにあえて計算だけに内容を絞り込んでいるわけです。一人でも多くの子どもにできるだけ自分の力だけで未知の内容を学びとる姿勢や経験を積んでほしいと考えています。
この回答を見て、疑問に思ったことを述べさせていただきます。
①赤字部分です。小学校6割、中学校8割、高校10割が代数計算が
必要な割合だと述べられていますが、どのような根拠でこの割合が
算出されているのでしょうか?
私は数学が専門ではないので、コメントする資格があるか疑問ですが
中学校の8割が代数計算に関わっているとする認識には同意できません。
多分図形問題の中の三角形の内角の和が180度などの問題も計算問題として
処理されている気がします。また関数の単元は全て計算分野としてカウント
していると想像されます。少なくとも中学の図形と関数の割合はもっと高い
はずです。
②青字部分です。文章題や図形は算数・数学の応用部分だという論調です。
比喩的に考えれば、英語を学ぶために単語の習得だけを中心に考え、応用部分
だからとして一定期間まで文章の学習を止めているように見えます。
学習は単線的な進展を想定するのではなく、複線的思考が必要だと感じます。
うまく言えないのですが、ゲシュタルト的な構造の組成が学習では肝要かと
思います。一見無駄なことが後で意味を持つのが人間の成長です。
③緑字部分です。揚げ足取りで申し訳ありませんが、図形問題が国語力と関連している言説を聞いたことがありませんが、どうなっているのでしょうか?
以上①②③から導くことが可能なことは、指導者の力量が問われる分野を捨てて、誰もが説明できる計算方法の習得のみに焦点をあてたカリキュラムではないかという疑問です。
公文の算数・数学は計算ドリルだと言えると思います。