つくば国語塾

つくばにある小・中・高・既卒を対象とした国語(他に小論文・AO推薦対策・英語)の塾です

国語力の本質(2)

こんにちは、つくば国語塾の塾長です。

 

前回の続きです。

問題文に何が書かれているか、作者の主張を重点的に考えることを述べました。

 

では、どのようにして作者の主張を捉えることができるようになるのでしょうか?

 

要約が最も効果的です。文章がどのような成り立ちで一つの主張をしているのかは文章の書き方によって違いが出てきますが、主張を展開するために、読者を説得することが必要となってきます。

 

説得のためには論理が必要です。

 

つまり(説明的)文章とは作者の主張を読者に納得させるために、重層的に論理を駆使してできあがっているわけです。この論理を引きはがしながら大切な部分を抽出することが要約ですが、要約について一言述べます。

 

要約は文章の大切な部分を抜き出すことになっています。これは間違いではありませんが、即座にこのことができたら苦労はしません。

 

むしろ、不必要な部分を削っていく作業からはじめましょう。

 

このことを「縮約」と説明している本があります。

 

以下抜粋

 

ベストセラーにもなった大野晋「日本語練習帳」の中で、著者の大野も一押しのトレーニング法が、この〈縮約〉である。
 学生から「あの縮約の授業が一番役に立った」と言われたものでもある。
 
 文章がよく読めるようになりたい、達意の文章が書けるようになりたいと思う人にはきっと役立つだろう。


 「日本語練習帳」では、1400字程度の社説を400字に縮約する課題があげられている。

 具体例は後ほど見るとして、まずは6つのルールを示そう。
(以下、引用。=>以下はこのブログの中の人のコメント


1.縮約とは、要約することや要点を取ることではなく、地図で縮尺というように、文章全体を縮尺して、まとめること。

 =>要約ではないので言い換え(パラフレーズ)はしない。出てきた言葉を、その順番通り、その言葉通りに使用する。

2.1行20字詰20行の原稿用紙を使い、最後の1行あるいは2行の空白を作ってもいけない。つまり、ぴったり20行にわたる文章にまとめる。

 =>箇条書きではいけない。400字でひとつの文章としてまとまって読めるものつくること。

3.400字から1字はみだしてもいけない。
4.句点(。 )、読点(、)は1字文取る。
5.全文を段落なしに書き続けてはいけない。途中に段落をつけ、改行すること。
6.題目は字数外とする。


 =>字数制限など条件がタイトに見えるかもしれないが、その方が、繰り返しやったときに上達がわかりやすい。あと原稿用紙の使い方をマスターしてもらいたいという意向も含んでいる。



 このトレーニングは、文意の内容、構造、語句選択、その他細部に至るまで、読み取る力を養うのに、これ以上にないほどの威力を発揮する。

 ルールに制約されたアウトプット(縮約すること)が課されるからこそ、大雑把な読みは叩き直される。
 目だけ追うだけでは、なんとなく内容を理解するだけでは、また大事なところに線を引く程度では、縮約するには足りない。
 
 まず余分な部分や、要点を支えていない部分がどこなのか、実によく分かるようになる。

 端的にそして誤解なく伝えるには、無駄のない筋の通った文をつくるには、何が不要であり何が必要なのか、構成から語句、句読点の付け方のレベルまで、実感できるようになる。

 要約と異なり言い換え(パラフレーズ)しなくてもいいので、自分の中から言葉が出にくい人でも、取り組むことができるのも長所だろう。

 当然ながら文章の意味を正確に読み取らなければ、縮約はできない。
 面倒がらず、辞典や事典をつかうことを大野は勧めている。


 「社説の文章の縮約を30回すると有効だと思います。ええっ?30回も?と思うでしょう。ところが、続けていくと途中から目が鋭くなって、肝心のところが読み取りやすくなり、かなり書けるようになります」(大野晋「日本語練習帳」)

 

少し理解いただけただろうか。